藤本真由オフィシャルブログ

演劇マニアin2008モスクワ〜宝塚雪組「ロシアン・ブルー」番外編
 「ロシアン・ブルー」で、沙央くらま扮するレビュー団のロジャーが、「バレエ・リュスだ!」「エイゼンシュテインだ!」といちいち感動しては「演劇マニアめ〜」と突っ込まれているのを観るうち、…そういえば、昨年6月にボリショイ劇場の取材でモスクワを訪れたとき、あひるも似たようなことをしていたなあと思い出した次第。チャイコフスキーの家博物館のあるクリンに行ったときのエピソードはちらっと書きましたが(「チャイコフスキーとルイ・シャルル」http://daisy.eplus2.jp/article/105433602.html)、それ以外にもいろいろと忘れ難い経験が。
 あひるの泊っていたホテルはチャイコフスキー記念モスクワ音楽院の近くにあり、そこからボリショイ劇場まで毎日15分ほど歩いて“通勤”していたのですが、道中必ず通るのが、スタニスラフスキーとネミロヴィチ=ダンチェンコが創立したチェーホフ記念モスクワ芸術座のあるカメルゲルスキー横町。レストランの並ぶこの横町をしばし進み、右に曲がると、ラフマニノフがデビューしたというオペレッタ劇場があり、ほどなくしてボリショイ劇場に到着〜。ちなみに、左に曲がってずんずん進めば、来年4月にバレエの来日公演のあるスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場。一昨年の3月に取材で訪れていたので、何だかちょっと懐かしく。
 今年6月のボリショイ・オペラ来日公演で上演された「スペードの女王」の演出をしていたワレリー・フォーキンの取材は、氏が芸術監督を務めるメイエルホリド(!)・センターにて。オフィスには演劇人の記念プレートなどが飾られていて、興味津々。
 そして、午前中だけ時間が空いていた最終日、ホテルの近くの演劇人の家めぐりに出発〜。まずは、スタニスラフスキーの家博物館。ほぼ、スタニスラフスキーの住んでいた当時のまま保存されているということなのですが、…カビまで当時から保存されてる? という感じのすごい匂いが充満していて、あんまり長くいたらカビを吸い込みすぎてガンになるかも…とちょっと息をひそめつつ見学。この部屋で初めて上演された作品「エフゲニー・オネーギン」にちなんで「オネーギンの部屋」と呼ばれる、練習用の小さな舞台がある部屋にしばしたたずみ。「俳優修業」をはじめとする名著が書かれた書斎には、舞台装置の模型もありました。
 そこから十分ほど歩くと、今度はゴーリキーの家博物館。スタニスラフスキーの家とは打って変わって観光客が多かったのは、この家が、ロシア・アール・ヌーヴォーを代表する名建築としても名高いからかも。あひるは実は、いつか(いつだ?)一山当てたら神戸の異人館に住みたい! と思っている建築マニアでもあるので(物件の目星はもうつけてある!)、内外装もそれはじっくりと見学。流麗な曲線を描く階段や植物モチーフのランプが美しかった…。昨年4月にちょうど、ケラリーノ・サンドロヴィッチの上演台本・演出が卓抜だった「どん底」を観たばかりだったので、資料もいろいろと興味深く。
 そこからさらに十分ほど歩くと、今度はチェーホフの家博物館。ピンクのこじんまりとした外観がかわいい家で、2007年8−9月に上演された井上ひさしの「ロマンス」に出てきた表札のエピソード等々を思い浮かべつつ見学。松たか子が演じていた妹マリアのベッドが何だかすごく小さいんだな…と思った記憶がありますが、内部がかなり改装されているのが残念。トルストイの写真もあって、生瀬勝久のトルストイの扮装、そっくりだった! とびっくり。
 このとき、本当は早く切り上げてカフェでランチでもしようと言っていたのに、あひるのマニア心ゆえ時間を丸々使ってしまい、快くつきあってくださっていた朝日新聞のKさんにとうとう「お腹空いた〜」と言わせてしまったのでした(Kさん、その節は本当にすみませんでした…)。そんなあひるのトランクは、滞在中に買い込んだ、ボリショイ劇場のプログラムやら、チャイコフスキーやらディアギレフやらグリゴローヴィチやらの資料でめちゃめちゃ重くなってしまい、荷物の重量制限を超えていたらどうしよう〜と最後までヒヤヒヤ(結局、大丈夫だった!)。…以上、ロジャーにも決して負けてない? であろう、演劇マニア兼建築マニアのあひるのモスクワ滞在記でした。