藤本真由オフィシャルブログ

合言葉は「プリティ・イン・ピンク」!〜ジョン・ヒューズを送る[映画]
 大きな事件も多かった2009年の夏、個人的にショックだったのはアメリカの映画人、ジョン・ヒューズの急死である(8月6日逝去)。80年代に一世を風靡した彼の一連の青春映画が私は大好きだった。
 世間的には、代表作といえば監督作「すてきな片思い」や「フェリスはある朝突然に」(これは、学校&職場に一度でも行きたくないと思った人なら必見の名作!)、そして脚本と製作を手がけた「ホーム・アローン」シリーズということになるのだろうけれども、何と言っても私が大好きなのは「プリティ・イン・ピンク」である。その後の人生に大きな影響を与えた一本と言って間違いない。
 モリー・リングウォルド扮するヒロイン・アンディは失業中の父親と二人暮らしの高校生。暮らし向きが裕福でない中、抜群のセンスを発揮して個性的なおしゃれでキメて通学しているが、学校を牛耳る金持ち連中には目の敵にされている。そんな彼女にお金持ちグループの一人、ブレインがアプローチ、高校最後のダンス・パーティ、“プロム”に誘ってくる。だが、二人の接近をよく思わない人々の妨害に遭い、誘いを撤回するブレイン。アンディの恋の行方は――。
 オープニングを飾るサイケデリック・ファーズの痛快な「Pretty In Pink」をはじめ、プロムのシーンで流れるOMDの胸キュンな「If You Leave」、他にもスザンヌ・ベガやニュー・オーダー、スミス等々が流れる選曲も◎で、サントラも何度繰り返し聴いたかわからない。そして、モリー・リングウォルドが凛としてかわいかった! 決して美人というわけではないのだけれども、ふくれっつらしたり怒ったり笑ったりする表情が個性的で実に魅力的だった。古着基調のファッションも似合っていて、ボーイフレンドなんかいなくても大丈夫! とばかり、人からもらった二着のドレスを自分でリメイクして素敵なドレスに仕上げ、一人プロムに乗りこんでいく場面なんかさっそうとかっこよくて、そうだ、現代のシンデレラは強くなくっちゃね、と思ったものだ。
 私は昔からどちらかというと団体行動が苦手なタイプだったのだけれども、モリー演じるアンディの姿に、自分の個性を貫いて生きることを教えられたように思う。そして、小さいときから好きだったピンクという色がますます好きになった。これからも一生ピンクの似合う人でいたいなと思った。その気持ちは今も変わらない。
 赤ちゃんが生まれると男の子はブルー、女の子はピンクの色を着せられることが多かったりして、女性性と直接結び付くようなところがあるからかときにどうも不当に貶められているような気がするピンクだけれども、私にとっては別に女らしさを強調して男性性に媚びたいとかそういう思いをこめて着る色ではない。「プリティ・イン・ピンク」のアンディのように、自分として生きることを貫きたいときに着る、いわば人生の戦闘色なのである。つらいことも多いこの世界で、美しいもの、心に響くものを見つめていたい、人の冷たさではなく優しさを見つめていたい、そんな決意をこめて着る色。世界を祝福するために着る色。大好きな人に会うときに着る色。自分が一番落ち着く色−−。
 何だか、10代、20代のための色という認識も日本では強いみたいだけれども、私の最終目標は、カナダに住んでいたときに会った多くの魅力的なおばあちゃんたちのように、白髪に明るいピンクが映える着こなしである。
 ちなみに、私のピンク伝播力は相当強いらしい。ある友人がひところピンクを積極的に着るようになり、別の友達が「彼氏でもできたかな」と思っていたのが、「後から考えるとあれ、藤本さんと仲良くしはじめた頃からだったんだよね」と話してくれたことがあって、彼氏、私?! とついおかしくなってしまったこともあった。
 そしてちなみに、この作品で恋のお相手、ブレインを演じているアンドリュー・マッカーシーは、10代の頃の私の憧れの存在だった。青春群像劇「セント・エルモス・ファイヤー」、それにデパート! を舞台にしたファンタジックな「マネキン」も大好きだったのだけれども、「セント・エルモス・ファイヤー」では街角の娼婦に「あんた、ゲイでしょ」と言われて涙を浮かべてしまうような、まあ正直、実に情けなくヘタレなところが魅力の人。そんなアンドリュー・マッカーシーと並んでもう一人好きだったのが、きわめてマッチョ志向のマイケル・パレというあたり、このころからすでに己の女性性が大きく混乱していたことがうかがえるというものである。マイケル・パレの作品で私が一番好きなのは、流れ者の男がストリートギャングにさらわれたかつての恋人の歌姫を救い出す「ストリート・オブ・ファイヤー」(の最高にかっこいいナンバーが昔、TVドラマ「ヤヌスの鏡」でも使われていた「Tonight Is What Is Mean To Be Young」で、だから、この曲がクライマックスで流れるミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」はちと複雑な気分ではあったりするのだが)。ダイアン・レイン扮する歌姫を救い出し、一夜愛を交わして別れのシーンで言うセリフ、「俺はお前の荷物持ちにはなれん。でも、俺が必要なときには呼んでくれ。助けにくる」なんかもう、最高に最高にかっこよくて、いつか自分も言われてみたい! 、そう長年思っているうち、…あら不思議、何だか最近、もう人に言われるよりむしろ自分で言ったれ! という男前な気分が芽生えてきている自分を発見(笑)。具体的にそういうシチュエーションがあるってわけじゃなくて、あくまで、スピリット、生きる姿勢としての問題ですが。…と、何だか最後は話が非常にずれてしまいましたが、でも、こうして熱く語れるほど、昔好きだったものって今もやっぱり変わらず好きなんだな…と思えることって、何だか愛おしい瞬間で、そういう瞬間が人生をつなぎとめているような気がする。10代の私に、そして今の私にも、勇気を与えてくれる一本をこの世に産み出した人、ジョン・ヒューズに心からありがとうと言いたい。


 
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