藤本真由オフィシャルブログ

2009年を振り返って
 「♪九月、十月、十一月と/あひるの人生暗かった」と思わず「圭子の夢は夜ひらく」を替え歌してしまうような2009年後半でしたが(っていうかあひるはどうして自分が生まれる前の歌をそんなにすらすらと歌えるんだろうか。自分でも謎)、…十二月も十日を過ぎてからぱっと霧が晴れ、さんざっぱら悩んできたことがすべて腑に落ちました。本当に、それは不思議なくらいに。再び夢見る力を与えられ、来年に向けて希望を抱ける展開になった。…決して悪い年じゃなかった! それにしても、こんなに晴れやかな気持ちで年の瀬を迎えられる上では、昨日久々にお会いすることができたTさんに負うところ多し。志を同じうする人、自分と同じように舞台を信じ、命を賭けて舞台を創ろうとしている人と語れることが、こんなにも幸せとは。あわただしい帰国の合間にお声をかけてくださって、Tさん、本当にありがとう! そして、これからも末長くよろしく! 海外武者修行で一段と大きくなった暁に手がけられる舞台を、あひるは心から楽しみにしています。
 さて、今年のあひるの身に起きた最大の出来事といえば…、やせた。一月から10kgほどやせて、14、5のときの体重に戻りました。その結果、先シーズンまで着ていた服がほとんどぶかぶかになってしまい、何を着ても“大人の服を借りて困っている子供”みたいになって、めちゃめちゃ夫の笑いを取っていた…。そんなこんなであれこれすべて買い直さざるを得ず、2010年は「観劇日記」に加えて「お買い物日記」もやろうかななどと思っていたりもするあひるですが、これまで20年間、どうしてやせなかったんだろう…とこれまた不思議になるくらい、やせ始めたら本当に簡単で早かった。逆に、今の状態の方が本来の自分の姿なんだということに気づいた。それ以外にもいろいろなことに気づいたのですが、太っていた、というか、やせたいと思う半面太っていてもいいやという気持ちもどこかあったんだろうな…というのは、人生うまくいかないことを全部太っているせいにする弱さが自分にあったのと、この20年ほど、自分がずっと己の女性性の混乱と格闘していたからなんだろうなと…。詳しくは、いよいよ発表の恒例の大晦日お楽しみ企画とも絡んでくる話なので、ひとまずおいておいて。一銭もかからない、生き方&片づけと連動したダイエット法にご興味ある出版社の方は、左の方にあるメールアドレスからぜひご連絡を〜。
 それでは、2009年の観劇本数を発表〜。ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル…(発表前のドラムの鳴る音)。
 355本!
 昨年の442本よりはかなり減りましたが、一昨年の348本よりはそれでも多い…(笑)。今年はつとめて休肝日ならぬ休観日を設けるようにしていたのですが、それでも、“観る”と“書く”のバランスについてはもう少し考えていきたいなと思う次第。
 全体的に振り返ってみると、今年は、クラシック音楽に一段深いレベルで目覚めた年だったなと。演奏家の魂を通じて作曲家の魂に迫るという経験がより鮮烈に味わえるように。ベートーヴェンと踊ったり、チャイコフスキーに諭されたり、時空を超えて偉大な魂とたびたび向き合うことができた。そして気づいた。偉大な芸術家もまた、一人の人間であったと。自らが人間であることを気の遠くなるような果てまでとことん突き詰めていったからこそ、最終的に偉大な存在になり得たのだと、そんなことを思った…。
 そして、十二月には、実家の愛犬トラジロウに文字通り“生”と“死”を教えられた。犬ごときと思われる方もいらっしゃるかもしれないけれども、私にとってトラは、いつも“生きる”ということを教えてくれた、ペットというよりはむしろ対等な存在だったなと思う…。その命が消える瞬間を目撃したこと、そして、トラちゃんと一緒だった16年間の幸せな思い出を通じて、二つの優れた芸術作品、バレエ「瀕死の白鳥」の振付と映画「フロスト/ニクソン」(名優フランク・ランジェラによる、名演技の教科書のような珠玉の一本!)の犬のエピソードが一層深くわかるようになったし、“死”およびそれに向き合う心境の表現に一層シビアに。「そういう風に命は消えないんじゃないかな」「死と向き合う気持ちってそんな甘いもんじゃないんじゃないかな」とついつい腕組みして観てしまう、そうじゃないとトラちゃんの魂が報われん! と思うからなのですが、それでも、ブロードウェイで一列目で凝視してしまった「リトル・ナイト・ミュージック」のラストのアンジェラ・ランスベリー(「ジェシカおばさん」!!!)のあっぱれな死に様と、宝塚月組「ラスト プレイ」で自分はもう死ぬ…と感じた瞬間、主人公のピアノ演奏を所望する霧矢大夢の演技には心打たれるものが。後者には、そうだよな、もし、心に留めてきた役者がヘボい演技ばっかりしていたとしたら、そして自分がもう死が近いとしたら、「死ぬ前にもう一回お前の最高の演技を見せやがれ〜」ときっと毒づくだろうな…と思い、死に際してもなお観ることに固執する己の業を思って嘆息したあひる。トラジロウのように厳かで静謐な死を迎えるには、まだまだ人生、修行が足りないようだ…。今までいろいろ大切なことを教えてくれて、本当にありがとう、トラちゃん。トラちゃんに代わる存在はきっと、あひるの人生にはもう現れないだろうと思う…。誰にだって自分の家の犬が世界一愛しいものだと思いますが、それにしても、かわいくて賢くて、藤本家の一員らしく、食いしん坊な犬でした。
 …うわーん、書いてたら盛大にしんみりしてきた〜(涙)。いかんいかん。大掃除も、そして大晦日恒例企画の発表もまだだというに。…というわけで、次はいよいよ、2009年あひるの心のベストテンの発表です!