脱帽!!!〜宝塚月組「スカーレット ピンパーネル」その1[宝塚]
 4日の初日前の舞台稽古を見学。舞台稽古なのについ抑えきれずに泣き笑い。各ナンバー終わりの拍手など、舞台稽古ということで、いつもは控えめなところ、今日はもう、集まった取材陣も相当本気で拍手していて、それだけ舞台の完成度が高い証拠。終演後の囲み会見でも、主人公パーシバル・ブレイクニーを演じる月組新トップスター、霧矢大夢さんから、「気負いはまったくありません。自信をもって、月組ならではの作品を、心をこめてお届けしたい」とのコメントが。質問に答えながら、相手役の蒼乃夕妃さんの方をしばしば見やっていて、その視線に蒼乃さんが終始ニコニコと笑顔で応えていたのが印象的でした。

 実は、大劇場公演中、夫の実家に帰省した際、公演を観る機会があったのだけれども、……それはもう、度肝を抜かれてしまった。トップお披露目公演からこの完成度で来るんだ! と、あまりの衝撃に呆然としてしまったほど。
 二年前、星組による初演は衝撃的だった。宝塚の歴史に残る作品が誕生した! と思わずにはいられなかった。けれども、再演月組版の衝撃は、それをさらに上回るものだった。わずか二年で、宝塚歌劇はここまで革新されてしまったのだ…と、その評論に携わる者として、これ以上なく幸せに思った。
 星組版が海外ミュージカルの巧みな宝塚化だとするならば、今回の月組版の最大の特色は、宝塚版ならではの美点を保ちつつ、いま一度、海外ミュージカルの線に押し戻した点にある。その最大の原動力が、月組新トップスター、霧矢大夢の存在であることは言うまでもない。霧矢といえば、これまでにも、「エリザベート」や「ガイズ&ドールズ」等、海外ミュージカル作品で数々の名演を披露してきたことでもわかるように、海外ミュージカル通として知られているスターである。音楽性。セリフや笑いの間合い。ダンスシーンの物語り方。彼女が浴びるように観、自らの内に取り込んできたのであろう海外ミュージカル作品のエッセンスが、トップスターという立場で取り組んだ月組版「スカーレット ピンパーネル」に、見事なまでに生かされている。そのことに、私は衝撃を受けたのである。
 公演を観ていて、そして、今日も囲み会見でトップお披露目の意気込みなど聞いていて、霧矢自身の中で、これがトップお披露目公演なんだ…という意識よりも、大好きな海外ミュージカル作品の世界を思うがままに創り上げられる表現者としての喜びの方が大きいようで、何だか観る側ばかりが「この人がトップになる日が来たんだ…!」という感慨をもってスタンバイしていたように思えて、何だかおかしくなってしまったのだった。何しろ、お祝いムードの中心たるべき人物が、「感慨にひたるよりむしろ、月組一丸となって創り上げた『スカーレット ピンパーネル』に心ゆくまでひたって!」とばかり、凄まじいパワーで、華麗なるミュージカルの世界に引き込んでゆくのだから。
 そして、霧矢がこの作品において披露しているパフォーマンスが、初演の星組版に対する冷静な評論となり得ていることに思い至って、私は自らの言論をも振り返らずにはいられなかったのである。初演の際、宝塚歌劇の世界にあまりにもぴったりとくる作品の誕生を祝うあまり、私は多少、浮かれてはいなかっただろうか――と。そんな自省をもって、これからの一ヵ月、今の私が捉えた月組版「スカーレット ピンパーネル」をしたためてゆきたいと思う。初演版の主演、安蘭けいが、トッププレお披露目作「ヘイズ・コード」で始めた“心が動く、熱い舞台”が、星組版「スカーレット ピンパーネル」で一つの到達点を迎えたとするならば、月組版「スカーレット ピンパーネル」で霧矢大夢が始めた革新の最初のキーワードは、宝塚の基本精神“清く正しく美しく”の第二テーゼ、“正しく”である。

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宝塚歌劇調査報告(宝塚歌劇 2010-06-06 11:39)
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宝塚歌劇GO!GO!(宝塚歌劇 2010-06-12 11:32)
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