藤本真由オフィシャルブログ

私のアナベル〜宝塚・花陽みら退団[宝塚]
 夏の月組公演「NOBUNAGA<信長>−下天の夢−」で、花陽みらは、前田利家の妻まつを演じた。同じ演出家の「一夢庵風流記 前田慶次」ではトップ娘役愛加あゆが演じたキャラクターである。大劇場作品の舞台で久しぶりに花陽の思いきりのよい演技を観て、…ああ、この人の芝居はやっぱり気持ちがいいなあ…としみじみと思った。ショー「Forever LOVE!!」でもそのきらきらした笑顔が視界に飛び込んでくることが多かった。そう来なくっちゃ! と思った。花陽みらの活躍する舞台をもっと観たい! と。――まさか、その公演の千秋楽からほどなくして、彼女の退団が発表されるとは思ってもみなかった。しかも、東京公演のない、宝塚バウホールでの公演のみの作品での。
 2011年の「アルジェの男」で、花陽は、主人公をめぐる三人の女の一人、アナベルに扮した。騙されてピアノが弾けなくなり、湖に身を投げる盲目の令嬢。…アナベルは私だ…、そう思った。そのときから彼女はもはや私の一部なのである。大切な。
 レビュー「Rhapsodic Moon」(2010)では晴れやかな笑顔でラインダンスのセンターを務めていて、センターに配置された人物の表情かくあるべしと思わされ、その後ラインダンスを観る際の一つの基準になったこと。「ベルサイユのばら−オスカルとアンドレ編−」(2013)で、こましゃくれた子供ルルーを演じ、特別出演していた雪組トップスター壮一帆扮するアンドレに、「可哀想にあなたは平民。お姉チャマ(オスカル)は貴族。とうてい結ばれることは不可能よ…」と、観ている側の心にまでぐさっと突き刺さりそうなほど平然と言ってのけ、役者として対等な真剣勝負を挑んでいたこと。思い出があふれてくる。
 2016年10月21日、「FALSTAFF〜ロミオとジュリエットの物語に飛び込んだフォルスタッフ〜」の千秋楽をもって、月組娘役・花陽みらは宝塚の舞台を去る。私が彼女の舞台を幸福感と共に思い出せるのと同じくらい、彼女の宝塚人生、そしてこれからの人生が幸せに満ちたものであることを願って。